ウミネコラム

「ウミネコアーキ」が、建築について日々感じていることやら読本のまとめやらを色々と書き連ねるところ。

【感想まとめ】「Parallel Session 2017」

過去の建築イベントの感想まとめ。

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2017.10.22(日)
「Parallel Session 2017」テーマ“動く、動かない”
@建築会館ホール

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日本建築学会が主催する、昨年度のパラレル・プロジェクションズ2016に引き続き今年も開催された建築イベント。
昨年は年齢制限で出られなかったので、今年から初参加。

今回は伊藤祐介と昨年からずっと続けていたプロジェクト「Personality Transcripts」が、プロトタイプとして一区切りついたことから、それを持っていくことに。
ちなみにこういうやつです↓
https://wataridori-mb.wixsite.com/umineko-archi/blank-3

 

AM10:00~PM18:30という長丁場の、様々な世代の有名無名の人同士がフラットに建築を議論し合うとても贅沢な時間でした。
僕らが参加したチームのお題は「設計の最適化が可能にする現代空間とは?」というもの。自分たちのプロジェクトの内容に最も近いものを設定していただいたとはいえ、非常に難しい課題。
ひとえに<設計の最適化>と言っても、解釈は多岐に渡り、たとえば、プロセス・空間の生成方法・施工・クライアントとの関係性・などなど…どれかだけでは片手落ちになってしまう状況でだいぶ苦労しながらの議論。

最終的にチームでまとめたアイデアに対して、松川昌平さんと辻琢磨さんとのセッション。
中心議題は「<かたち/形>と<かち/価値>の前後関係」について。
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日本の建築設計プロセスは、大学における教育を含めて、はじめに<価値>ありきであり、その<価値>に対してどのように<形>を生成するかという手順を往々にして踏んでいる。つまり、様々な与条件を満たすための形態、ということになる。
しかしながら、生物学的に思考すると、数多の<形>の中から適切なものだけが生存し、残りの<形>は淘汰されるというプロセスを踏んでいる。キリンは高いところの草を食べるために首が伸びたのではなく、首が長いキリンのみが生き残った、というように。
ということは、人間のための建築/空間を志向すると、必然的に<形>から導入するのがより自然である、という結論になる。

チームの提案は、端的に言えば膨大な量の<価値>をいかに<形>に落とし込む処理をするか、という議論をしていただけに、そのプロセス自体に無理がある、という批評は堪えた。確かにC.アレグザンダーの『形の合成に関するノート』での議論とその限界はすでに提示されている。
しかしながら、<形>と<価値>というのは主観/客観、解釈主義/実証主義、定性的/定量的といった二項対立的関係性にみられる、相反する位置づけだと考えられる。とすれば、それは“鶏が先か卵が先か”という議論と同様で、前後関係の優劣をつけることが可能なのか、という疑問が生まれる。
二項間の往復運動をいかに数多くこなすことができるかが重要であって(か/かた/かたちにおける螺旋運動のように)、一度きりの前後関係を問うことは果たしてリアリティがあるのだろうか。

とはいえ、「Personality Transcripts」はまだ<価値>→<形>の単線モデルでしかないので反論の余地はないわけである。問題はその<価値>は設計者が恣意的に規定したものであり必然性はなく、さながらルシアン・クロールのごとくサイコロを振って決定するのと何ら変わりない、ということ。
一方で、大量の<形>を生成してその後に<価値>を適応していく、というプロセスは、何を根底に<形>を生成するのだろうか。無から有を作るということがいったい可能なのか。どうしても無意識の<価値>が<形>に影響しているように思えてならない。もしそうだとすれば、はじめに<形>ありき、ということを捏造することになる。つまりはプレゼンテーションの問題。

恐らくその議論は極端に還元しすぎであって、あまりに<価値>を詰め込んで<形>を生成するよりも、ごく限られた<価値>から<形>を生成し、残りの<価値>を適応させていく、というプロセスの方が正しいように思う。
すごく単純にすると、<形>の豊かさと妥当性をいかにして両立させるか、ということだろうか。

「ハイブリッド」あるいは「サイボーグ」のように、生成物において<価値>と<形>は同時並行的に混淆的に存在している。
しかし一からモノを生成するときに、必ず順序が発生する。
この<価値>と<形>の前後関係を超克するアイデアが、今後の課題である。
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今回沢山の建築関係の方々に関われたことはとても貴重な経験でしたし、自分たちのプロジェクトを面白がってレビューしてくださったことにも感謝しかないです。特にコンピューテーショナルデザインの最前線で活躍されている松川さんと直接やり取りできたのは大きな収穫でした。
また来年大きくなって帰って来れればと思います。笑
色々なアイデアやアドバイスを頂戴したので、とにかく手を動かして作っていきます。めざせ実物。